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腋臭症

腋臭症(えきしゅうしょう)は、皮膚のアポクリン腺から分泌される汗が原因で強い臭いを発する人体形質で、それを有する個人の属する集団によっては疾患としての扱いを受ける。わきがとも呼ばれる。

症状
腋窩部から腋臭臭、つまり、運動時などにかくエクリン腺からの汗の臭い(酸っぱい臭い、汗臭いと表現されることが多い)とは異なる特有の臭いがする。その臭い自体は人やその時の環境などによって違いがあるため一概には表現できないが、ネギの臭い、鉛筆の臭いに喩えられることが多い。この臭いはその形質を有する個人の属する集団の傾向によっては、しばしば他人に不快感を及ぼすものとして扱われる(腋臭症における問題点を参照)。さらに、その腋臭臭の原因となるアポクリン腺分泌物は衣服に黄色いしみを作り、汗が大量に出る多汗傾向を伴う。腋臭症の女性の一部には、性器や乳輪からも腋臭臭を認められる場合がある。その症状はすそわきがと呼ばれる。本形質による臭いを嫌うものの多い集団では、そこに属する腋臭症患者の多くがそれを過度に気にする精神状態に追い込まれ、結果として鬱病など併発する恐れがある。そのため、人間集団の傾向によっては腋臭症は軽視することはできない重要な健康問題となる。


原因
腋臭臭の発生の原因は腋窩部のアポクリン腺から分泌される汗が原因であるが、アポクリン腺の分泌物自体は無臭である。しかし、その汗が皮膚上に分泌されると皮脂腺から分泌された脂肪分やエクリン腺から分泌された汗と混ざり、それが皮膚の常在細菌により分解され、腋臭臭を発する物質が生成する。

また、腋毛が汗などを腋窩部に留め、臭いが出やすい環境を作っている。腋毛や陰毛は、そもそもアポクリン腺分泌物に起因する臭いを効率的に保持する形質として進化してきたとする仮説も有力である[要出典]。

腋窩、性器、乳輪部分のアポクリン腺が成長し活動するのは第二次性徴が認められる頃のため、一般的に腋臭臭が発生するのは思春期以降である。


診断
診断方法には以下のものがある。

切開によるアポクリン腺の確認。
耳垢が湿っている。
耳垢が湿るのは、耳の中にあるアポクリン腺からの汗が原因である。耳の中にあるアポクリン腺は幼少の頃から発達しているので、腋臭臭が発生する思春期以前から確認できる。

血族に腋臭症の人がいる。
腋臭症は優性遺伝する。片親が腋臭症であると子の約50%に、両親が腋臭症であると子の約80%に遺伝する。

専門医の嗅覚による判断。
なお、実際には腋臭症ではないにも拘らず腋臭症と勝手に判断し、自己臭恐怖症に陥っている者が多く見られる。自分勝手に判断せず、形成外科、美容外科の専門医の診断を受けることが望ましい。また、自己臭恐怖症が疑われる場合は、精神科医の診断を仰ぐことも必要である。


治療
腋臭症の治療法は保存療法と手術療法に分けられる。手術療法のいずれにも健康保険を適用することができる。しかしながら、診療報酬の割合と手術の手間の著しい乖離から、民間病院では自由診療扱いで治療する場合が多い。なお、健康保険の適用と臭いの強弱、腋毛の範囲には一切関係はない。


保存療法

制汗剤
制汗剤は多くの薬局等で販売されている。これは、殺菌作用があるため、皮膚常在細菌を殺し、汗などが分解されるのを軽減することにより臭いの発生も軽減させるものである。しかし、これは腋臭臭の原因であるアポクリン腺に直接作用する訳ではないので一時的に臭いの発生を抑えるものである。といっても、これは腋臭症の軽度〜中度の人は制汗剤により臭いの発生を抑えられるので、その他の治療の危険性を考慮すると制汗剤による治療で十分である。なお塩化アルミニウムの配合された制汗剤の場合は、汗腺に対し直接作用するので汗そのものに対する効果も期待できるが、日本では塩化アルミニウム配合の制汗剤は主流ではなくあまり販売されていない。


腋毛の処理
腋毛の処理をすることにより、腋に汗などの皮膚分泌物が多量に保持されるのを防ぎ、汗などの分解量を軽減して腋臭臭も軽減出来る。脱毛に関しても同じ原理である。但し、腋毛の処理、脱毛も腋臭臭の原因であるアポクリン腺には直接作用する訳ではないので、腋臭臭の軽減が目的の場合には不適切である。また、制汗剤の治療と混合することにより効果は増す。只、腋の皮膚を傷めると制汗剤も使用できなくなる場合があるので、十分な注意が必要である。


ボトックス注射
A型ボツリヌス毒素製剤(商品名ボトックス)を注入することにより、汗の分泌を促進させる神経伝達物質アセチルコリンを抑制させ、発汗自体を抑制させる。1回の注入で4ヵ月から6ヵ月間効果が持続する。


手術療法

剪除法
現在、最も一般的に行われている手術療法である。腋の皮膚の皺にあわせ、3センチから4センチほどの切開を1本ないし2本入れ、指で皮膚を裏返し、目で確認しながらはさみでアポクリン腺を切り取っていく方法である。


吸引法
腋の上部を1センチほど切開し、脂肪吸引等に使うカニューレと呼ばれる器具を挿入してアポクリン腺を吸い出す手術療法である。これを改良したものに超音波吸引法がある。


皮下組織削除法
ローラーとカミソリ刃がついたはさみのような器具を用いて行う手術療法である。腋の上部を1.5センチほど切開し、その部分から腋の下に器具を挿入、操作させることによって、アポクリン腺を削除する方法である。


切除法
腋毛が生えている部分の皮膚を切り取る手術療法である。腋の皮膚部分を大きく切り取るため、運動障害の後遺症が残る可能性がある。


統計
腋臭症体質者の割合は日本人では10人に1人。中国人では30人に1人。白人では10人に8人。黒人では10人全てとされる。[要出典]


腋臭症における問題点
日本社会では腋臭症に対する嫌悪感情は年々増加している。それは日本人の清潔好きが理由であるともされているが、同時に、大半がモンゴロイド人種から構成される日本社会においては、腋臭形質を持つ者が少数派であるという事情もある。例えば、日本社会では、人を罵る際、「臭い」という言葉を投げつける事がある。しかし、統計の項目でわかるようにコーカソイド人種の一角を構成する白人や、大多数がネグロイド人種である黒人では、腋臭形質を持つ者が、腋臭形質を持たない者を上回り、ごく一般的な人体形質である。そのため日本社会であったなら腋臭症とされてしまう者が多数派であり、腋臭症であることを気にする人は日本と比べれば少ないし、むしろ異性にとって魅力的と感じられる体臭要素の一つとして扱われる事もある。

現に、西洋諸国で腋臭症の治療の大半が過剰な汗の量を抑えるのも目的としたものであり、日本のように臭いそのものをなくす目的の手術が行われる事は少ない。つまり日本社会における腋臭症の扱われ方は、西洋諸国と比べればいささか厳しいとも言える。さらに、ほぼ毎日風呂に入るという一般的な日本人の習慣からすれば、過度の体臭は風呂に入っていないと見なされる為、腋臭症が不潔なものであるとする観念を持つ者が少なくなく、このことが、さらに腋臭症の人の肩身を狭くしている。本来人間の腋臭臭は一種のフェロモンとして機能する体臭形質のひとつであり、上記のよう異性を引き付けるためのものであったり、縄張りを主張するためのものとして機能していた。これは、動物などにも多くみられる機能であるし、非モンゴロイド人種が多数派の社会では現在もそうした機能が残っている。たとえば、欧米社会における香水文化は、日本では体臭を誤魔化す為とされている傾向があるが、実際にはそれ以外にも、腋臭などの体臭を、より効果的に演出する発想と強く結びついている。


併発する恐れのある疾患
多汗症
鬱病

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